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【6/16】 Viraja Aupamya九日間感想連載◆2日目『昭和20年のナイトフォール』

 
 何ということでしょう、アニソン三昧を朝9時から聞いていたら
 あっという間にこんな時間に!

 いや逐一大騒ぎするのは自重するつもりでしたが
 気づけば5月一ヶ月分のツイートとほぼ同量を
 一日で消費してたという恐ろしい事実。愕然とするしかない。
 朝から深夜まで馬鹿騒ぎして、興味ない方大変申し訳ございませんでした……

 にしても、ラインナップはほぼ文句なしでしたねえ。
 あとは好調な聴取率がはじき出されて、一年に一回の祭典として
 隠れたお化け番組になってくれたら嬉しいなあ。
 

 というわけで、では連載企画の方へ。
 
 
 
『昭和20年のナイトフォール』
 つくしさん

 時代がかった仮名遣いが素人お断りだぜぇ的な雰囲気を醸しますが、
 気むずかしそうに見えて案外現代語に近く、
 国語の苦手な私が普通に読めました。ですのでどうぞ身構えずに。

 この本で一番享楽的な作品ではなかったでしょうか。
 げっぷが出るほど鏤められた旧字体、てふてふ的な古めかしい仮名遣い、
 本作においてこれらはどうもアクセサリにすぎない気がしますね。
 この作者が本作に選んだスタイルは、その書簡体という様式も含めて、
 必ずしもストーリー上の必然性に要求されていません。
 偶然作者の筆致がそちらに赴き、
 一種の遊び心にこのスタイルを選んだかのように見える。

 ……そして私がこの作品で最も興趣を惹かれた要素も結果的には、
 こうしたエクステリアではなく、もっと内面的な部分でした。


 敗戦の足音が聞こえ始めた諏訪神社で、戦火の下に生きていた一人の風祝と
 そこで行き会う不思議な少女との物語。舞台は昭和20年8月のある一夜。
 自ら語りすぎてしまうほどに特殊なこの舞台設定を、
 真に脈動させる要素が二つ。
 まず一つには、空襲、疎開などといった血腥い現実と神なる世界とを、
 物語に突如現われる一人の少女が立ち振る舞って刹那的に結びつけ、
 接触しコネクションをもったその次の瞬間に国が終戦を迎え、
 現実だったものが一気呵成に突き崩れるというこの展開構成の妙。
 少女がここならぬ世界へ旅立っていった夜の光景は、
 天皇という神なる存在を失い、夢から醒めるように
 別の現実へと舵を切っていったわが国の転換点を象徴するものです。
 後世彼女が筆を執っているその瞬間の果てなき追憶に、
 読者の歴史ロマンを含めた感情は容易に共有される。

 そしていま一つには、少女が醸し出す正体不明の雰囲気の魅力が、
 物語ありきでつくられた登場人物の身空そのものでなく、
 純粋に子供――こと少女という生き物に特有の、
 底深い神秘性に由来していると思われることです。
 子供は何歳まで神様の子、などと言われる、あれですね。
 大人の常識的な感性の外に子供達は居て、たとえ目の前にいても
 大人と違うものを視て生きている。
 ジブリの名作「となりのトトロ」に相通じる、ある種の神秘さ、不気味さ。
 特に女の子は、なぜかその性状が濃い傾向があります。

 本作には、そういった童女の発する神性が芳醇に染み込んでいるのです。
 もしかすると作者も無意識のうちに描き出されたのかもしれませんが、
 この少女は既存の東方キャラクタのオマージュとして描かれつつも、
 その魅力の根拠をより人間という動物の根源的な部分に持っている。
 これこそが私の好みのど真ん中を射抜いた主因であり、
 本作をささやかな名作として際立たせるエッセンスに他なりません。

 もちろんこれは東方小説という観点で見るとやや劇薬で、
 ともすれば文字通りに興醒めさせる要素ではありますが……
 御託を並べといて最後に使うにはちと安っぽい言葉ながら、
 まあ「この本に収録されたから許される」としたいですね?(

 この作品を読まれる方には、是非とも版面の見た目に誤魔化されず、
 語り手の視点から日本の辿った遙かな時空と、
 消えてしまった少女の神秘性を充分に味わって頂きたいと思います。

 ◆

 このカッコつけの作者様に拍手!
 というわけで明日は3日目、『書簡集』に向かいます。

  ところでつくしさん、文中何となくルビが一カ所違うような……。
 
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