スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【6/20】Viraja Aupamya九日間感想連載◆6日目『Ret;romancer』

 
 大事に扱ってたはずのこの本なんですが、
 何度となく手に取ったり鞄に入れたりしてましたので
 やはり知らない間に薄く光る筋が。

 自分で本を作るときも悩んで悩んで、最終的に絵柄見て決めてるんですが
 マット加工って手触り好きで、だけど傷つきやすいので管理が難しい。
 PP加工とは永遠のライバルであろう。きのこたけのこなんて目じゃない。

 ホログラムPP加工?
 あ、うん。……やってみたいね。お金があったらね。

 ◆

『Ret;romancer』
 きりゅうさん
 
 言ってしまうと私は東方の旧作キャラを知りません。
 PC98マシンが骨董品と化した今原作に親しむチャンスは実質ゼロですが
 原作を知る前に誰かの生成した副次的な色に染められるのが嫌で、
 本来なら二次創作もあまり積極的に嗜まない。作るも読むも。
 ではこの作品をお勧めすることは困難か?

 とんでもない。
 キャラのキャラクター性を超越した、
 東方の東方たる東方でしかない魅力がこの作品には満ち溢れている。
 うん、よく分からないな。つまり旧作が分からなかろうと、
 仮令SFが好きじゃなかろうと、
 東方を愛する小説好きにはもれなく本作を読んでいただきたいのです。

 実像と虚像、実像と幻影、現実と幻想――
 雄弁な語り口に乗せて、四十頁の間リアルとバーチャルが
 間断なくシームレスに入れ替わる有り様は最早感動の一言。
 世界の確かなるモノを見つけては見失いかける二人の軽妙な掛け合い。
 現実とそうでないものが渾然一体となった目くるめく世界で、
 ついに本格的な幻想の侵食が始まるときの得も言われぬ昂奮。
 進化を遂げすぎた世界が無慈悲に捨てつづけた古い常識達の、
 それは現代に対する反逆であった。

「狭くなった幻想郷を捨て、今こそ外に飛び出す時です!」

 短いながらも強烈な科白です。
 高ぶり、わくわくし、何より恐怖感を覚えるこの科白のパワーは
 この本の中でも随一でしょう。
 加えてそれを引き立たせるだけの世界観の構築がまた筆舌に尽くしがたい。
 SFテイスト溢れる多彩な劇中用語、その舞台装置を用意した分だけ
 余すことなく巧みに利用されていくあらゆるギミック、
 記号化されて世界に「挿入」されるモニュメント、などなど
 申し上げるも百聞は一見にしかず。
 めがねさんがおっしゃっていたけど、この世界観でまだまだ読み続けたいと
 真剣に願ってしまうほどの素晴らしい京都ワールド。
 そう、何と言っても本作の舞台が京都というのが魅力を倍加させている。

 マジックリアリズム――小説の用語となるとからっきしの私にも、
 森見登美彦を読んでいたおかげで聞き覚えのあるこの単語。
 まさしく森見作品で感じた京都の魅力、マジックリアリズムの魅力が
 本作では存分に活かされている。
 尚これがSFのこととなると一層の門外漢で輪を掛けてさっぱりですが、
 こちらも色とりどりのフレーズが京都の町並みを彩っていき、
 先述のマジックリアリズムと相乗効果を成してぐいぐい世界を描いていく。
 これはSFとマジックリアリズムの融合を褒めているのではありません。
 桐生さんという作者の腕前、センスに敬服しているのです。

 珍品揃いの一冊にあって、豪快にそして完璧に突き抜けきった作品。
 現実世界の京都にベースを構えて幻想郷を立地的には突き放しながら
 描かれているものは取りも直さず幻想郷。
 ここまでのすべての作品がキャラクター性を浮き立たせることに
 重点を置いていたのに対し、この作品にはまごうことなく
 幻想郷という世界そのものの二次創作が描かれている。
 それも原作に対して受け身になることなく、
 作者自らの言の葉と世界観で、違和感のない幻想郷の延長線上を
 ページ中に描ききっているのです。恐ろしや。
 大きく出ますが、これこそ東方二次創作の神髄と言えるでしょう。

 前作ポメガのリコーダーさんの作品も稀代の名作でしたが、
 何かこのシリーズではSF系に神品が揃う運命なのか。
 軽快なテンポ感で押し広げられる、文字通り虚々実々たる
 夢と現の攻防に酔いしれていただきたい。
 
 ◆

 このマジカルな作者に拍手!
 というわけで明日は7日目、『八雲紫は  をあいしている』おいでやす。
 
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
リンク
プロフィール

Author:< リンク等はサイトの方へ!
FC2ブログへようこそ!

FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

最新記事
検索フォーム
QRコード
QRコード
月別アーカイブ
最新コメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。