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【6/21】Viraja Aupamya九日間感想連載◆7日目『博麗霊夢は  をあいしている』

 
 帰宅してみたらびっくりするくらい部屋が寒かったのですよ。
 そういえば台風5号さんがお近づきになってあそばせたんでしたね。

 ってあれ、もう死んだのk

 まぁ台風が過ぎると一転して夏が来るんでしょうねえ。
 などと場つなぎで、風流な台詞も垂れ流しつつ本題。
 
  
 
  
 ○『博麗霊夢は  をあいしている』
 パレットさん
 
 世界は彼女を中心に回っている。

 敢えて一意的で頭悪いくらい浅薄な例示をしてみると、
 思いつくところは「涼宮ハルヒの憂鬱」でしょう。
 一応感想であって論評ではありませんし
 あまり衒学的なことを言うつもりはないですが(知ったかぶりだし)、
 ただ過去涼宮~を読んだ際に「これってジュブナイル小説っぽいなあ」と、
 無知な私でも朧気に感じられた記憶があります。

 佐藤厚志さんの作品に次ぐ、この本で難解な作品その2。
 柔和な表現を多用し、割り切りよく内面描写に重心を置かれた作品は、
 読みやすさはともかくキャラクターの心情を繊細に追うことができる。
 そこに描かれるのは、純真な幼い憧憬が少女の成長の中で姿を変えて、
 やがて自我が芽生えると共に葛藤に変わり、
 二種類の心がアンバランスに共存しやがて弾けた僅かな時間のあらまし。

 そんな物語の性状に忠実に向かい合ってみると、
 この作品からはやはりジュブナイルの豊潤な匂いを感じ取るのです。
 世界の中心を仮想的に見立てて、そこから自己の世界を形成していく――
 たびたび引き合いに出しますがかつて涼宮~で、
 ハルヒの隣にいるキョンがそんな役回りを演じました。
 本作に描かれる世界は、しかしそれより閉鎖的で、内向的で、
 そして言うなれば病的です。
 幻想郷だから安心感を覚えてしまいますが、
 彼女達が垣間見せるかんばせには明らかに暗く病んだ要素が孕まれている。
 僅か三十頁ほどの紙面で極端なまでに象徴化されたストーリー展開は
 そのまますべてがメタファに満ちあふれ、神聖にして不可侵で
 ファンタジックな人間を基準点として、精一杯に自己の世界を構築する
 八雲紫や霧雨魔理沙の心象風景を具現化した姿そのものとなっています。

 彼女らは極めて盲目であり、純真ながらにして病的。
 しかしこの物語は一方で、もう一つの揺るぎない真実を描いている。
 切なげな紫、魔理沙、アリス、「お姉様」の独白によって
 明確に浮き彫りにされるそれは――ごく簡単なことです。

 博麗霊夢が、もうどうしようもなく魅力的で、かわいくて、
 とにかく愛される存在なのだということ。

 こいつ何を、と言われるかもしれない。
 ですが同人誌を読むくらいの東方のファンであるなら、
 霊夢を嫌いな人なんてきっと皆無に等しいでしょう。
 そして、霊夢が無条件に愛される姿に覚えの一つ二つは必ずあるでしょう。

 博麗霊夢は愛されざるを得ない存在である。
 この作品のストーリーは、東方の世界を形作る上で中心となる
 博麗霊夢という人物が有する果てしのない魅力を完璧に捉えきり、
 いわばそのレゾンデトルを「擬人化」することで成立しているのです。 
 あまりにも無防備に愛されてしまう霊夢の立ち振る舞いは、
 読者の想いさえも惹きつけ、本ごと抱きしめてしまいそうになるくらいの
 途方もない嬉しさ、いとおしさを与えます。
 それが涼宮ハルヒ・キョンと本作における主人公の存在感の違いであり、
 ファンタジー・ジュブナイルとでも言うべき色彩に本作を塗り上げた要素。
 その色彩が、まったく趣の違うはずのぱじゃま紳士さんの作品にさえ
 どこか相通じさせてしまうような、甘くて苦いスパイスとなっているのです。

 乙女らしい乙女心を魔理沙や紫達が全編通じて担いながら、
 一方で東方の二次創作すべてを代弁するような、
 絶対的な正義をこの作品は体現しています。
 世界をも巻き込んだ究極の「愛されいむ」の形であり、
 そしてかつ、そのような世界の捉え方をするからこそ、
 やはりジュブナイル小説としての一面を私は感じてやまないのです……
 さて、他の方の目にはどう映るのでしょう。 

 この作品に描かれる彼女たちを、
 紫らしい・魔理沙らしいと感じるか感じないかは読者によるでしょう。
 もしパレットさんの作品を一部でも知っていれば
 少なくとも解説文にある楽しみ方はできるとは思いますが、
 そもそも二次創作における「らしさ」というのが、
 意地悪に言えば、先人の記号化の累積なのです。
 パレットさんのセルフオマージュとしてもさることながら、
 ことジュブナイル小説としてこれを眺めると、
 本作が実は完璧なまでに東方の二次創作なのだと見えてくるのでした。
 
 ◆

 この愛溢れる作者に拍手!
 というわけで明日は8日目、『Doomsday clock』をお迎えします。
 
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