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【6/25】 2012電撃大賞受賞作品 九丘望 『エスケヱプ・スピヰド』

 
 ここ最近感想しか書いてないですね!
 いやまあ積み本なんて増やしたって一文の得にもならんので
 読みたい本を読みたいときに読むのが一番なのですよっと。

 というわけで『エスケヱプ・スピヰド』。
 今回(と言うには発表から時間が経ってしまいましたが)の電撃大賞作品です。
 去年の大賞作品とも一昨年のそれとも雰囲気を変えてきた感じですね。
 レーベルの色をつけない、ラノベの可動域を意識した身のこなしで
 さてはて今年はどうかなー? と、例年楽しみにできる要因でもあります。

 
 
 近未来の日本を舞台に繰り広げられる正統派ファンタジー。
 戦乱で荒廃した大地に細々と身を寄せ合う人間達、
 その中で一輪の花の如く健気に生き抜く少女・叶葉が、
 人間の心を知らない一人の少年・九曜と偶然出会うところから
 ファンタジック・ボーイミーツガールの幕が開ける。
 
 実際古風とさえ言えるほどの王道行ってますねえ。
 その上でラノベのお手本と称しても差し支えないくらい、そつがない。
 一度終わった世界、機械兵、メタリックなバトル描写、
 人ならぬ少年と凡百な少女の馴れ初めから交友、心を開く少年、
 しかしすれ違い、そして再び惹かれ合うまでのプロセス、
 ついでい嫌味にならない程度の厨二病スパイスまですべて明快なのがいい。
 小難しい心理描写やドヤ顔の伏線処理など
 こってり豚骨ラーメンみたいなラノベが隆盛な昨今ではありますが、
 物語の面白さはやはり王道においてこそ極大値、
 極大値を取れるからこそ王道なのです!
 ああいや、豚骨ラーメンが嫌いなわけじゃ全然ないんですけども。
 
 で。
 ここまでの感想だと凡庸なライトノベルなのかと思われそうですが、
 本作の魅力を支えてるのはこれもやっぱ明快なところで
 作中のメカ「鬼虫」から漂う格好良さ。一にも二にもこれに尽きます。
 逆にそこが肌に合わなければ、物足りない作品になってしまうかも。
 
 面白さがものすごく男の子的ですよね。
 作者は虫が嫌いだそうですがそれを疑ってしまうくらい、
 昆虫に特有のメカニックな身体の構造といかにも金属的な描写の積み重ねが
 この作品では琴瑟もかくやの相性でとにかくカッコイイ。
 ごく簡単に、金属製の虫のおもちゃを想像していただければいいです。
 男の子なら一度は感じるであろう、あの得も言われぬ蠱惑的な魅力が
 「鬼虫」の描写からふんだんに漂ってくる。
 そいつらが超高速で空を飛び回るんですから、
 そりゃ当然夢中になって読んでしまいますよ。
 
 はい、技術的なところ。
 潤沢な表現の引き出しに支えられた文章力は、予想通りに高得点。
 そしてこの作品に欠かすことのできない、バトル描写の疾走感が出色。
 超高速の中で一瞬の連続を捉え続ける微妙なさじ加減をうまく支配し、
 濃密な中に爽快なスピード感を描き出している。
 淡々としているようで、作品の設定上これはとても重要なエッセンス。
 そこで失敗がないぶん、盛り上がりどころで大コケは有り得なかった。
 あとは、ファンタジー小説ならではの設定語りや
 ボーイミーツガールとしての約束どころも、
 ペース配分的に非常に優れていたと思います。

 
 冒頭にも書きましたけど、電撃大賞は色んな作風を選んでくれるのが好感。
 しかしその中でも、やはり完成度高いのを選んでくるなという印象です。
 今回ちょっとした理由から公平な目で見れるか心配でしたが、
 掛け値無しに絶賛しちゃうレベルで杞憂に終わりました。
 
 まあ完成しすぎて終わってしまった分、
 例年の大賞作品と比べると続刊への期待感の持たせ方が
 ちょっと甘いかなという気はしましたが……
 それもすでに書店には並んでるそうなので、
 この熱が冷めやらぬうちにまた手に取ってみようと思っています。
 
 というわけで、今更今年度の電撃大賞作品のご紹介でしたー!
 
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