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【12/22】 本の感想 『Φ-四季-』

 
 帰宅が遅れ列車に座れない日が続いて、相対的に読書時間が増加中。 
 席に座ってしまえば、読むよりも書く方に勤しんでしまうもので。

 というわけで今日は、先のオンリーで発表されたばかりの秘封小説、
 零四季さんの新刊『Φ-四季-』です。


 
 零式エルゴ領域『Φ-四季-』(著:零四季)

 まずこの表現――こうしてレビューするにあたっては不満だった小説にも
 時折使用する表現なので、あまり積極的に使うべき言葉ではありません。
 「ムード小説」。語弊を恐れず言えば、私の今回の感想はそこに帰結した。

 忌憚なく言えば細密なストーリー構成という訳ではなく、
 なのにその割に、凛然と一本筋の通った空気が流れている。
 四本の章から成る構成。ここに四季というテーマを織り込み、
 終始落ち着いた語り口調で、読者は確かに四つの季節を旅することができる。

 この「季節を旅する」という感覚が、とても心地よいリアリティを持っている。
 それがこの小説の最大の特徴です。
 「ムード小説」というやや曖昧な、決して明確でない定義に収束させた本作は、
 犀利な表現や難しい言葉に頼ることなく、それでいて日本の季節の景色を
 まるで原色で彩色して伝えているかのような一作。

 先日のriversideさんの本を、温かみがあり柔らかい「絵本的」と称するなら、
 零四季さんのこの作品はクリアかつ彩度の高い「写真的」な味わいがある。
 一つひとつの作品に、しっかり情景が籠もっているのが素敵でした。
 流れていく景色に季節が乗って、車窓のガラスからそれを眺めているような。
 

 ――他方、ストーリーはというと。
 実のところ率直に言えば、私は「理解できた」と自信満々に言い切れない。
 私は、この作品を読み終えて、それから第一章にもう一度帰って読み返して、
 それでようやく朧気ながらも「こうか?」という輪郭を得ている。
 決して複雑怪奇なストーリーではないはず……読者を迎え撃ち、
 不敵な語り口で煙に巻くという嫌味たっぷりの小説という訳では決してなく、
 しかしその結果、素直な割に分かりづらい。言葉は悪いですが、
 特にエンディングまでの流れはやや急峻で、「雑」だったという印象も。
 玉に瑕、やや拍子抜け、と言葉にしてしまうことは簡単なのですが。

 ともすれば意図的に隠されたか? というパズルのピースがいくつかあり、
 それはミステリアスというよりは、ほんの少しもどかしい。

 もっとも、これは作者のせいだけではない。
 私の読書能力が求める、作者の語りの水準がやや初心者レベルに
 寄りすぎているという、私自身の如何ともしがたい事情があります。
 読書経験不足ですね。もっと色んな本に私は振り回されるべきだ。

 「なんとなく……」に留まったこの物語のストーリーラインはしかし、
 春夏秋冬、四つきっちり描き分けられた単元の中、
 「心地よい不理解」という表現を用いて、納得の腑に落とすべきでしょう。
 楽しめなかったかといえば、決してそんなことはありませんでした。
 図らずももう一度春に戻ることとなって、素敵な小説だったと思います。


 全体から優しさを感じられる表現、鮮やかな情景。
 そして何より、この作品のキーフレーズのひとつにもなっている
 「秋の小説」最後の一ページ。あの印象的で、本作の象徴たるギミックを……

 101222.jpg

 
 まさか印刷所が協力して微妙な「演出補助」までしてくれるなんて!
  ※この抜けてるページ達は、10頁ほど後ろにまとめてくっついてました(苦笑)
 
 というわけで、色鮮やかな零四季さんの秘封小説のご紹介でした。
 まあ丁合のミスでしょう、そんなこともあります。
 さてさて、次はどの本にしようかなー。
 
 
 
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