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【4/16】 本の感想 「御阿礼式回転時空証明」

 
 さる2月の京都秘封阿求オンリーでつくしさん(火照るパン)が書かれた
 阿求さんの小説。稀覯本ですね。阿求さん主人公の小説というだけで。

 というわけで、読んでみたので感想。 
 ネタバレ、というほどのネタバレは含みませんが、
 念のためネタバレありということにしておきます。
 









 この作品、表紙からも放たれる阿求さんの魅力に絆されるのみには留まらず、
 周囲に伝え聞く評判が上々で、期待が膨らんでいた作品。
 いろんな理由が重なり合って、かなり楽しみにしていたのですが――

 「が」で繋ぐと、必要以上に刃を持つかもしれません。
 全体評価はともかく、読了感としては「ですが」と繋がざるを得ない本作は、
 丹誠込めて素材を仕込み、念に念を入れた調理で仕上げて、
 最後になぜかソースをかけていないという塩梅。
 美味だけれども、本当にこれで完成しているのだろうか?
 素材の味で楽しめる料理だけれども、本当はこういう料理じゃないのでは?

 ソースに喩えたのは、結末が不足と言いたい訳ではありません。
 確かに若干不足していますけども。


 以下は、私の考え。
 この作品は、稗田阿求という幻想郷の一ピースの視点に立ち、
 稗田阿求の行動に語り部が憑依して語られる、大いなる「傍観」である。
 作者が語る物語ではない。阿求が語る物語でもない。
 世界が誰かの言葉を借りているだけ。
 傍観者は淡々と幻想郷に生き、ごく平凡に事件の行く末を追った。

 ……ということは、運命がドラマ性を用意してくれなければいけない。
 あくまで淡々と紡がれた数奇な運命の軌道。
 語りの主眼を阿求の筆記に間借りさせて、つまり阿求が主役ではなく、
 この物語の本当の主人公は幻想郷そのものだと私は感じる。
 そう考えてようやく、この小説が見せた表情に合点がいき、
 実は「主人公のクライマックス」がなかったと気づいて引っかかります。

 阿求の筆記に委ねたけれど、阿求に持たせた主人公性が抜け切っていない。
 当てずっぽう混じりの推理、大いに間延びした中盤、
 おおむね唐突に訪れた終盤の解決シーン、
 幻想郷が本当に主人公になりきっていれば、これでも許されたかもしれない。
 読了感の曖昧さの理由は、最後に世界が「引っこんだ」気がしたから。
 
 この物語において幻想郷は、阿求に最後の主人公性を預けてしまい、
 淡々としすぎた物語が本当に「淡々とした物語」で終わってしまった。
 世界を主人公にする小説が、いかに難しいか――という点かもしれませんが、
 でも恐らく、つくしさんなら書き上げることもできたはず。

 だからソースの存在を、私は疑ってみるのです。
 本当は、書かれなかった一シーン二シーンがあるんじゃないか。
 作者の思考世界で、この物語の完全版があるんじゃないか。

 私にとっては、勿体ない物語でした。
 気品高く、面白くなる要素に満ち溢れていながら、
 この状態で本当に完成した料理なのか確信が持てない。
 そんでもって、感情をうまく言葉にできた確信も持てない。不透明な読了感。
 美味しくはありましたが、ふと芽生えた胸騒ぎがどうしても止みません。
 
 
 ◆


 ――そんなこんなで、「御阿礼式回転時空証明」の感想をお送りしました。
 お気になったらこちらで。(えーっ最後に宣伝!
 
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