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【10/6】 小説紹介 「戦略拠点32098 楽園」

 
                ――『戦略拠点32098 楽園』(長谷敏司)


 繰り広げられる宇宙戦争、当たり前に消えていく人命。
 その下で涼やかに流れ続ける、「楽園」という名の異様な時空間。
 すべて粛々と描かれている。
 連綿と続く過去未来、そのある一瞬に「楽園」で暮らすことになった人々の
 無機質な触れ合いから物語はスタートする。

 全編を通じての、静かな頽廃と果てなき壮大なスケール感は、
 読者の持つ興奮を小さなものに思わせてしまう力があります。
 戦争や惑星といった目に見えるものから、
 人の心や時間といった見えないものまで、
 すべてが読者のリアリティを切り離す圧倒的なスケールを誇っている。
 読み手は常に絶大な興奮と、同時に底知れない無力感を覚えさせられる。

 その中でこの世界で唯一の人間、マリアの愛くるしさが素晴らしい。
 どこまでも無垢で、どこまでも悲しみがない。
 この真っ白な少女にヴァロワやガダルパが覚えた安心感と同じものを、
 ページの前で知らず知らずのうちに読者は共有することになるでしょう。
 


 「流星」「楽園」「リッキー・ヤング」
 この作品には様々に象徴化された単語が登場します。
 決して社交的でない硬質な文章が、ただ静かに宇宙に浮かぶ「楽園」を
 訥々たる調子で語る。
 その途中で不意に細かく激しく揺れ動く男達の心と共鳴し、
 突如激したように彼らの叫びを物語のメッセージに乗せて語っていく。
 ここが一番ハマりました。
 この作品の世界観に、素晴らしくマッチしている。
 
 SFと言えるのか分からないし、私がSFを普段読んでいないので
 私の興奮は多少値引きする必要があるかもしれません。
 ですがそれにしても、
 これほど物語のすべてが一体に調和した作品には素直に興奮する。
 登場人物わずか3人。ほとんど場面変化すらない。
 そんな作品が、なぜこんなにも躍動的なのか。
 
 絶望と欺瞞に満ち溢れた冷酷な日々の中、
 すさんでいた男達が「生きていく」ことの意味に気づいていく物語。
 そして気づかされ、向かい合わされる現実の残酷さを、
 静かで冷酷な戦略拠点32098が楽園の景色で包み込んでいく。

 

 なぜこの作品が世でほとんど知られていないのか――
 そう思ってしまうほどのすさまじい作品でした。
 いやはや、凄すぎてすべてを理解できた自信はありません。
 また1年くらい経ったら、もう一度この物語は読み返してみたい。
 

 紹介してくださった日間さんありがとう!


-----
 
 そんなこんなで、明日金曜日はラジオの日。

 http://std1.ladio.net:8080/hutuotahangon.m3u
 ラジオ(第82回)
 10月7日(金) 23時30分~24時00分終了予定
 チャット
 http://www.cometeo.com/room/mdCzyBll/ 
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